「僕たちの前途」を読んだ感想
読書の感想に限って、プログラミングにまったく関係ないものも書くことにしました。
今回紹介するのは、川越シェフにそっくりな社会学者、現在NHKの「日本のジレンマ」に出演中でもある、古市憲寿さんの本です。ざっくり言うと働き方についての本です。分厚くて脚注も含めるとけっこうな文字数なので、通学・通勤時間がやたら長い人とかにおすすめです。
脚注が面白い
前作の絶望の国の幸福な若者たちも読んだのですが、古市さんの本が良いなと思うところは紹介されている書籍がすっごい多いことです。普通に本屋や図書館に通っててもまず触れることの無いような古くてマイナーな本がたくさん出てきます。
昔はこうだった、今もこんなもんだ
働き方というテーマで古い価値観と照らし合わせたりして、いかにも現代っぽい流行、たとえば「ノマドワーク」とか、に対して「いや、それ既出じゃね?」みたいな感じでツッコミを入れるようなところが面白かったです。いつの時代もバズワードみたいなものを無責任に発信する輩がいて、それに続けとばかりにむちゃくちゃな自己啓発をする動きがあるということがわかります。皮肉屋の著者にとってそういう人たちは大好物でしょうが、僕みたいな情弱大学生には怖いばかりです。
ミュージシャンと社会的資本
第4章の「つながる起業家たち」では、こんなことが書かれています。
「友だち」というのはただ相談に乗ってくれるような存在ではない。ある時は新しい仕事を紹介してくれ、ある時は「彼の演奏は確かだよ」と保証人になってくれる。組織に属すことのないフリーミュージシャンたちは、人間関係の数と質によって職業を安定させているのだ。
こうした社会的資本、それも「弱いつながり」がいろんな環境で、キャリアに有利に働くとか。ボストンの転職活動に関する研究によってこれが発見されたそうです。
ここで参照されているのは「リーディングス ネットワーク論―家族・コミュニティ・社会関係資本」という本で、その後も似たような研究結果が確認されているらしいです。ここではもう一冊紹介されています。
感想
最初から最後まで飽きずに読めました。キャリアについて本気で悩んでる時に読むものじゃないとは思いますが、就活が始まる前にゆっくり考えることができて良かったです。
厚めの単行本にたっぷりぎっしり書かれているので、値段の分は楽しめること間違い無しです。特に脚注が面白いので、暇な人はそっちも追った方が楽しめるかと思います。