旧gaaamiiのブログ

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オープンサイエンス革命を読んだ感想

今日借りてきて、ぶっちゃけまだ最初の方と第9章しかちゃんと読んでいないのだけど、かなり面白い。

科学発展のためには論文書きあげる前からデータ公開したりしてった方がいいんだろうけど、研究者的には成果を出して名声を得たり職を得たりしないといけない。研究の途中でデータ公開するっていうのは成果を誰かにぶんどられる可能性が大いにあるわけだから、相応の報酬でもない限りやってられない。ざっくりだけど、オープンサイエンスの実現にはそんな問題がある。

第9章で著者はこれについて、評価が大事になってくると主張。実例として、オンラインツールによるプレプリントの地位の変革について紹介している。arXiv(「アーカイブ」と発音)というウェブサイトでは、プレプリント(刊行前)の論文が無料で掲載されていて、さらにSPIRES(スタンフォード物理学情報検索システム)というウェブサイトで評価付け(引用数のカウントなど)が成され、それが研究者の動機となっているらしい。つまり、本来メリットのないはずのプレプリントをインターネットで公開することが、メリットになりつつある。

これと同じようなことがデータやプログラムなどの単位で起これば、それらの公開が進んでいくことも夢ではない、というようなことを著者は述べている。

プレプリント、データ、コンピューターコード、サイエンスウィキ、コラボレーション市場など、どのようなタイプの科学知識に対しても、同様なインセンティブ構築の戦略を適用できるはずだ。どの場合でも基本的には、「引用」 -> 「評価」 -> 「報酬」 -> 「貢献へのインセンティブ」 という同一のパターンを取る。これは「評判に基づく科学」という経済を拡大していく一つの方法だ。

感想

考えてみれば、科学論文なんていう昔作ったシステムが非効率になってるのにそれに固執する必要はないですよね。実験の再現性のために科学は論文ていう形をとったわけだけど、その形が常にかなりの完成度を要求して、それによって書き手の評価が成されるのだと、スピード感が損なわれる。著者が言うように、論文の形になる前の情報に対して評価が成されて、それが素早く共有されていけば、科学発展はもっととんでもないスピードで進んでいくんだろうと思いました。今後は天才科学者として1人の人間が神様みたいな扱いを受けることはなくなるかもしれないけど、人類全体としては集合知の力でもってすんごいスピードで真実に迫っていくんだろうなぁ。