旧gaaamiiのブログ

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「ビッグデータの衝撃」を読んだ感想

ビッグデータの衝撃――巨大なデータが戦略を決める」を読みました。ベストセラーとなった「クラウドの衝撃」の著者でもある城田真琴さんが昨年書かれた本です。「ビッグデータ」というワードだけみると、小学生でもわかる単語の組み合わせです。僕自身、「でかいデータでしょ?」とか「なんかあれだよね、クラウドの次のバズワードってかんじのあれ。」とかいう認識でしたが、どうやらそこまで単純なもんでもないようです。

書いてあること

目次はこんな感じです。

バズワードを入り口にして、基本的な考え方から具体的な事例など網羅されていました。この記事では部分的にちょろっと紹介しようかと思います。

ビッグデータってなんだよ

ぼくみたいな素人からすると、そもそもでかいデータなんて前からあったんじゃないの?と思ってしまいます。本書を読む前は、インテリたちの言葉遊びだろ、おれら情報弱者を弄びやがって!という気持ちでした。

しかし、本書の「はじめに」には下のように書かれていて、これを読むとこのバズワードの必要性をちょっと理解できます。

ソーシャルメディアや非接触ICカードのデータのような10年前には存在すらしなかったデータはもちろんのこと、従来であれば発生と同時に捨ててきたか、あるいは蓄積してはいても、活用せずに一定期間経過後に破棄してきたデータの中に「お宝」が眠っているのではないか。これが現在ビッグデータの活用に取り組む企業のモチベーションである。

こういうものを活用するために、従来とは異なる技術や考え方が必要だから、今までと区別するために「ビッグデータ」というワードを使っているようです。なるほど。
「10年前には存在すらしなかったデータ」や「破棄してきたデータ」の具体例は、後の章でたくさん出てきます。

ゲーム会社の皮をかぶった分析会社

「第3章 ビッグデータを武器にする企業(欧米企業編)」では、Facebook上で展開されるソーシャルゲームの開発会社Zyngaが取り上げられています。最近はあまり良いニュースを聞くことができませんが(Zynga、520人(18%)に上る大量レイオフ計画を確認 | TechCrunch Japan )、本書が書かれていた当時は「飛ぶ鳥を落とす勢い」でした。
「(バーチャルグッズの)ペットの虎の色を変える」という簡単なA/Bテストでさえ、何千万人という規模のユーザーを抱えるZyngaにとっては売れ行きを急激に上げるための分析要素になるようです。

ビッグデータ時代への備え

本書で具体的な事例を読みビッグデータに対するアプローチがいくらか見えてきたとして、実際に企業や専門家がデータを扱うときに必要な素養はどんなものなのでしょうか。第8章の中盤で書かれているのが「データサイエンティスト」と呼ばれ、企業からの需要が拡大している人材の資質についてです。
とても乱暴にまとめると、企業はデータサイエンティストに対してビジネスインテリジェンスよりもコンピュータサイエンスを専攻してきた人材を求めるようになってきたようです。本書で紹介されているのが以下の図です。
f:id:shgam:20130614150233j:plain
http://www.emc.com/collateral/about/news/emc-data-science-study-wp.pdf
コンピュータサイエンス専攻の学生に期待する声が34%となっていますが、ビジネスインテリジェンスのそれはわずか12%です。

ビジネスにおいてビッグデータを活用するデータサイエンティストという人材には、単にデータを読むということではなく、そこから新たなサービスを作り上げる能力まで求められているようです。

感想

ぶっちゃけ、ぼくなんかがこの状況を見たところでどうもなりません。「データサイエンティスト」として活躍できる人なんて頭おかしいんじゃないかハイスペック過ぎるだろ、というのが正直な感想です。
ただ、データっていうのはエクセルの表にまとめられた閉鎖的でちぢこまったものではなく、あらゆる場面、場所、広大な世界に散り散りに存在してるものなんだな、と漠然と感じることはできました。いまどきエクセルが使えたからってどうしようもありません。
そういえば、東京大学大学院 情報理工学系研究科のぱろすけさんがこんなツイートを残していたのを思い出したので貼っておきます。頭の良い人はこういうジョークが思いつくのか、とひどく感心しました。

散り散りになっているデータをどう取得して、分析して、それを基にどんなサービスを創るか、っていうとこまで含めたのがビッグデータを活用するってことなのかな、と今のところは考えています。いやあ、恐ろしい時代になったもんですね。

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